STYLE-FITのこと

 先日、時折通っている事務用品店に立ち寄ったら、三菱鉛筆社のSTYLE-FIT(以下「スタイルフィット」と表記)という新製品を見つけた。僕は一目で気に入り、早速家に連れて帰って、いじくり回して遊んだ。以下その雑感である。


ジャンル的な性格把握
 スタイルフィットはホルダーを選び、数色のリフィルを選んで、自分でカスタマイズするボールペンである。そう、ゼブラ社のシャーボX、パイロット社のハイテックCコレトと同じジャンルの製品である。
 シャーボXは金属製の高級感ただようホルダーに4C規格のリフィルを使う。成人男性を対象にしているようで高級感の反面、価格設定は高めであり、ホルダーのデザインも少々渋すぎるように感じる。
 ハイテックCコレトは「ハイテック」という評価の高い水性インクを用いた専用リフィルを使う。ホルダーはチープで、主に中高生を対象とした製品に思われる。
 これら先行のシリーズに対し、スタイルフィットは専用の「シグノ」水性インク、「ジェットストリーム」油性インク、そして0・5ミリシャープペンシルリフィルを用意し、ホルダーはプラスチック製でチープだけれどもハイテックCコレトよりはシックさを感じるデザインで、高校生から大学生、あるいはそれ以上の、主に女性を対象とした製品と見受けられる。


分析の視点、あるいは単なる僕の好みについて 
 僕は4色ボールペンを愛用している。普段胸のポケットには測量野帳・万年筆・ペンシル・4色ボールペンを差して行動している。このうち4色ボールペンは齋藤孝氏が提唱する3色ボールペン読書術に感化されたもので、書類等を読む際には青・緑・赤の三色を多用している。
 しかし、市販の4色ボールペンは油性が多く、筆圧が低く、サラサラとした水性の書き味を好む僕には、ゼブラ社のSARASA以外に適するものがなかった。そこで仕方がなく、改造という手段に訴えることにした。
 BIC社の4色ボールペンをホルダーにして、パイロット社の4C規格水性青リフィル、オート社のニードルポイント油性黒リフィル(複写用)、ハイテックCコレト用緑系赤系リフィルをゲタを履かせて入れたり、
 ゼブラ社のClip-on-Slimのホルダーに、三菱鉛筆社のジェットストリームの赤・青、ゼブラ社シャーボX用水性エバーグリーンリフィル、パイロット社の1・6ミリ油性黒リフィルを長さを調節していれたり、
 トンボ社のReporter4のリフィルすべてをハイテックCコレト用に入れ替えたりしていた。


スタイルフィットの具体的な性格、もしくは感想じみたもの 
 僕が日常酷使するような国産の4色ボールペンのホルダーは、透明もしくは半透明のボディにゴム製のグリップという代わり映えのしないデザインがほとんどであった。これに対しスタイルフィットはボディを上下2つに分割し、上部をカラーに、下部を透明にしてここでリフィルの確認ができるようにしている。僕はゴム製グリップをあまり好まないので、BIC社4色のようにプラスチックのみで構成されるこのデザインはとても気に入っている。ゴム製グリップに不満を持つ利用者は少なくはないと思う。先ほど主に女性向けと言ったが、男性の僕が使っても決しておかしくはない中性的なデザインである。むしろ文具好きな男性こそその訴求対象にすべきだとも思う。
 また水性リフィルのほかに名芯と名高い油性ジェットストリームリフィルや0・5ミリシャープペンシルリフィルが用意されているのも大きな特徴と言えるだろう。
 難を言えば、一部先行販売の現在、4色ホルダーがないこと、シャープペンの太さが0・5ミリしかないことだろうか。前者は全国販売が始まる5月に5色ホルダーは発売されるのを待つとして、後者に関しては、2・0ミリとか1・6ミリ、1・18ミリなんてふざけたことは言わないから、せめて0・7ミリと0・9ミリはお願いしたいところである。


結論めいたこと
 スタイルフィットはシャーボX、ハイテックCコレトに続くホルダーを選び、リフィルを選んでカスタマイズする「セレクティッド・ローラーボール」である。位置づけとしては青年男性向けの渋いシャーボXと中高生向けの一見玩具のようなハイテックCコレトの中間にあたるだろう。シャーボXとハイテックCコレトの購買層は一部の文具マニアを除いて重なることはなかったが、スタイルフィットはその橋渡し的な存在になるだろう。
 実際、僕はシャーボXもハイテックCコレトもリフィルを愛用するものの、ホルダーにはあまり魅力を感じず、改造までして自分の好むボールペンを作っていた。改造まではやりすぎだとしても、自由にリフィルを選びたいと思いながら両者のホルダーに今ひとつ魅力を感じていない層に、性別に関わりなく、このスタイルフィットは強く訴える力を持った製品であると僕は考えている。